正常性バイアスは幻想ではないか

 コロナウイルス地震など、何かしら広く知れ渡っている危険な状態があると、他人を正常性バイアスに陥っている認定する人が各所で見られるようになります。しかし、そもそも正常性バイアスというのは本当にそんなバイアスがあるのか私は疑問に思っています。

 たとえば緊急地震速報があっても、避難が必要なほどの大きな地震があったことより、避難が必要にならなかった場合の方が多くあります。これは、緊急地震速報があっても実際には避難が必要にならない確率が高いということを意味します。これで本当に避難が必要で逃げ遅れたのだとしても、それは「確率の低い出来事が起きてしまったから」逃げ遅れたのであって、「認知バイアスによって安全性を誤った」わけではありません。

 ネットで調べてみると、津波の例だったりコロナ禍での帰省の例であったりが記載されていますが、「確率が低い出来事が偶然起きてしまったのではなく認知の誤りによって安全性を誤った」と明確に分かる情報は見つかりません。

 正常性バイアスというのは、危険性を煽りたがる人が、安全だと判断する人に対してレッテルを貼る行為に過ぎないのではないかと私は疑っています。