人間原理は生存バイアスみたいなものと理解した

 何をきっかけに知ったのかは覚えていませんが、最近、「人間原理」という概念が気になっていました。人間原理というものは「この宇宙は人間が存在するようにできている」なんていう宗教染みた主張をしているそうです。それにも関わらず、物理学者が人間原理を無視できない状態になっているらしいです。それで、人間原理とは一体どういうものなのかを知るため、この本を一通り読んでみました。

宇宙はなぜこのような宇宙なのか 人間原理宇宙論 (講談社現代新書) Kindle

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 物理学者が人間原理を無視できなるまでの経緯として、物理定数がなぜこの値なのかという話がよく出てきます。電磁力と重力の強さの比などの物理定数が現実の値と少しでも違う値になっていたら人間が生きていけるような宇宙ではなかったことが想定されるのですが、じゃあなぜ物理定数はこの値なのかを物理学者が研究してきた経緯が説明されています。

 で、人間原理というは「実は宇宙というのは1つだけ存在するわけではなくて、それぞれ物理定数が異なる宇宙がたくさんあるのであって、たまたま人間が住めるような値を取る物理定数の宇宙に人間が生まれてきただけだ」みたいな理屈でした。

 この説明を読んで拍子抜けしました。これって物理学者にとってそんなに受け入れ難い理屈なのかなと疑問に思ってしまいました。物理学を詳しく知っていると、物理定数の異なる宇宙がたくさんあるという宇宙像を受け入れられない何かがあるのでしょうか……。

 とりあえず、私としてはこの多宇宙の説明は「なるほど、それなら確かに辻褄が合いそうだ」とか「生存バイアスみたいなものかな」とか『これって単に「この宇宙は人間が存在するようにできている」のような変な説明の仕方をするから受け入れにくかったんじゃないか』という感想を持ちました。

 この本以外の説明も一応確認するべくネットで探してみると「この宇宙は人間が存在するようにできている」とか「この宇宙には人間しかいない」のような説明がいろいろと出てきたりもするので、この本で説明していない範囲で人間原理は受け入れがたい何があるのかなという疑問も少し残ってます。