時間は本当に進んでいるのか?

 だいたいの人は時間が過去から未来へ進んでいると思っている。だけど、本当に時間が過去から未来へ進んでいることを示す証拠はない。

「明日のことなんて覚えてないだろ? だから未来から現在に戻ってきたわけないんだよ」…みたいに言い出す人もいそうだけど、これは、「過去から未来へ時間が進んでいるから」明日の記憶がないのではなく、単に「明日が未来だから」明日の記憶がない。

 もうちょっと想像しやすいように例を出すと、逆再生されている映像中の人は、映像の最後の時点から途中の時点に戻ってきたわけだけど、映像の最初の時点のことは覚えていて、最後の時点のことは覚えていない。未来に関する記憶がないのは、順方向に再生されようと逆再生されようと変わらない。

 じゃあ、現実の世界は逆再生されていないとする証拠、つまり、過去から未来に時間が流れているとする証拠って何かあるのかというと、たぶん存在しないと思う。

 現実の世界の時間は本当に進んでいるのかも知れないし、逆再生されているのかもしれない。コマ送り再生されているのかもしれないし、所々カットされているのかもしれない。

 たぶん実際は、時間など流れているのではなくて、時刻ごとに空間が存在するのを「時間が流れている」と認識しているだけなんだろう。