動物の生存競争を見ていて、種の保存は何が望ましいのか疑問に思った

 アフリカで野生の動物が生存競争をしている動画をよく見ます。

 親子の草食獣が肉食獣に襲われたとき、子どもを救うために親が肉食獣を追い払おうとする場面が多々あります。子どもが助からないのを悟って自分は逃げる親も多いですが、子どもを諦められず奮闘し続けた結果、子と一緒にエサになってしまった親もいます。

 そんなのを見ていて、子孫を残すことは本当に望ましいことなのかという疑問が湧いてきました。子育てというのは命の危機を伴うわけですが、命の危険を冒しても種を存続させるのは、その動物の個体にとってどれほどのメリットがあるのかという疑問です。

 野生の動物にとって「種」とか「絶滅」という概念は分かりません。せいぜい「自分が所属している群れ」の概念がある程度かと思います。群れとは別のところに自分と同じ種がどれくらい存在しているなんて動物が気にするはずがありません。というより、個体数を調べる手段がありません。世界的に個体数が減っていったとしても、そして最終的に絶滅してしまったとしても、その動物自身には種の絶滅を知る手段がありません。絶滅した動物も別に悲劇の生涯を遂げたわけではなくて個体の1頭1頭は普通に生きて普通に死んでいったに過ぎないのです。

 種の存続は長年続いてきたことだから望ましいことで、それを今後も続けていくために子どもを作る必要がある……という風に考えている人は多いかと思いますが、子孫を残すのは純粋に「後に続くから」続いているだけであって、特にそれが望ましいわけではないような気がします。